「俺は、」
歯痒い、
「彩子先輩なんか嫌いです。」
(どうせ何も変わらないのに足掻く、歯痒いと足掻いても、足掻くから歯痒くなるだけのに、 そう泥沼なのに、絶対に、諦めたくない、)
歯痒い。




ああ、キスできればいいのに。
言った瞬間に血相を変えて喚き散らしだしたこの小柄なポイントガードの唇を、 素直に、自分で塞いでしまいたいと強く思った。目を瞑ってその音だけをひろって (内容は適当に流して)、自分はきっとここから一生抜け出せないんだと、

(わかって、たまるか。そう思うのに)

ふいに声が柔らかくだらしなくなって目を開けてみるとうっとりとしたように 彩子先輩に話し掛けているキャプテンがいて、(心底悔しくて、)

「先輩。」
「キスしていいですか。」
返事なんかどうでもよくて、した。



自分は彩子先輩の気持ちがどこにあるのか知っているし、あのタイミングでできた 自分に上出来だと思った、触れるだけのキスは早速麻薬のようにじわじわと体に 染み込んでくのを感じた、けれどそれ以上に、これだけの満足感でも 補いきれないほどの、絶対的な、不可能にも似た負けを
(感じずにはいられなかった。)

乱暴なドリブルのひとつひとつにあらゆる物への殺意を込めて、素直に、
(彩子先輩が自分を諦めて、宮城先輩が俺をすきになればいいと、)醜く願う、叶え叶えと 打ったシュートは外れて、







(目眩のなかで)
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もえの大暴走〜〜〜!
(06.12.17)