あっけない。期待していたわけでもない。ただ、終わるにはあまりにも。


「俺、アメリカ行くことになりました。」
「・・・へえ、よかったな。」



顔色ひとつ変えずに、しかも特に喜んでくれてる様子もなく、とりあえず間を埋めるためだけに 吐かれたのであろうことばに俺は安心と素直に悔しさを覚えた。 けどそれは身勝手なものでしかなかった。
別に恋人じゃなかった。けどただの先輩後輩でもなかった。むしろ 友達にさえなれなかったなと苦笑いだった。
キスもセックスもなくただ会いたいという感情に突き動かされつづけ、 特に決定的ななにかもないままなんとなく繋がっていたこの関係は、 おもしろいほど、あっけなく。




「まあ頑張れよ。お前なら大丈夫だって。」
乾いた笑い。そして俺はそれを先輩という立場を利用していると思った。 あくまでもなにもなかった(実際なにもなかったけれど)と全部流してしまいたいというように さえ映った。


衝動。ああ、全部これだったなと思った。俺を動かしてこうしてしまったものは。
衝動。


「すきです、先輩。かなり前から。」
「先輩も、そうでしょ?」
だから言ってくれと思った。言ったって、どうしようもないことばを欲した。衝動だった。
でも言ってから自分はこの人とはなんでもなかったのにと唇を噛んだ。 繋いでおきたくて言ったことばは全てを壊した気がした。この曖昧な位置さえぐしゃぐしゃに してしまったと思った。どうせ時間だとか距離だとか、 そんなもので柔らかく風化していくことはわかっていたのだから、
今一瞬で失ったってどうってことないと思った。のに。


「・・・なに言ってんだよ。」
「先輩。先輩も俺のことすきっしょ?」
「ありえねえよ。ばかじゃねえ?」
「じゃあなんでいつも会ってくれたんすか。」
「暇だったから?」

言ってくれない先輩に苛々する。こんなことばで何もかわらない、絶対なものなんて もう一生無理なのに、わかってるのに止められない。勝手だとわかっていても、 止められない。(むしろ止めたくない)(それに最後の願いをこめて)

「先輩、ちゃんと目見て言ってください。」
「早く行けよ。」
「宮城先輩、」
「っ呼ぶな!」

(もうだめだと思った。先輩も、俺も、 なにもかも、今だと思った、転げ落ちるように最後。)


「もう俺を呼ぶな!早く行けよ、アメリカでもなんでも早く行っちまえ!!
俺らはなんでもなかった、なんでもなかったんだ。」
「嫌です。先輩、俺、絶対帰ってきます。」
「違う!俺はお前からそんなこと聞きたくねえ!」
「待っててください。ずっと、すきでいます、絶対。」
「できねえ約束してんじゃねえよ!」
「宮城先輩、」
「もうやめろ・・・っ」





何も考えずただことばが口をついて出た。先輩はずっと辛そうな顔をして震えた声で裏返った声で "できねえ約束してんじゃねえ"と。
先輩が泣いたから俺は泣けなかった。ずっとすきですと繰り返して、 先輩はずっと泣いていた。
待っててくださいだなんて最低なことばだと思った。そんなことばになにひとつ 頼れるものなんてないのに。最後まで自分勝手だった、 けど他にどういえばいいかわからなかった。繋がっているほうが辛いとわかっていても どうしてもこわかった。先輩のなかから消えるなんて死んでもごめんだと思っているのに。 (消えないように繋いでおくものは元からなにも)

「ずっとすきです。だから、」
「俺はすきじゃねえよ!」







(なにもない)
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ありがちでごめんなさい〜〜〜
お別れ話すきです^^
(07.1.2)