こっから叫んで聞こえるやろか、俺のええ声が届くやろうか?


「聞こえるわけないわあほ」
「…ノリ悪いで南」
「頭悪いで土屋」
「俺結構頭ええねんでー?」
「そんなんどうでもええわ。とりあえずもう帰っていい?男ふたりで河川敷プラス夕日ってもう 救いようわ」
「ちょお待ってえや南くん!」

俺の悩みを聞いてえや!
俺は生まれて初めてこんな熱く苦しい恋をしてんねん。わかる? そんじょそこらの恋とは気合がちゃうねん、ほんま何もかもが全力投球やねん。 正直自分でもわかってんねんな、ちょっとうざいかなってことくらい。けどな、あれやん、 一番に"おはよう"って言ってもらいたいなーとか、目閉じる前にもっかい声聞きたいなーとか あるやん?俺はその欲求に素直に生きてるだけやねん。我慢は体に悪い、病は気から、 だからまあ多少うざくてもしょうがないかなーとかな。 携帯に手のびるのも普通かなーとかな。



「ははは!」
「俺やったら訴えるわ」
「あの3Pやたら入る奴を?あいつほんま目障りやんな」
「まだ雀しか起きてないような時間と明らか人間は寝てるべきな時間に毎日電話かけられて、 俺やったら精神的に苦痛すぎてきもすぎてもう法廷に立つしかないと思うわ」
「え、南ストーカーされてるん?」
「お前の宮城に対する行動やあほ!」
「なんで?ラブコールぐらいええやん?ていうかさっきの話きいてた?俺はな、一番に」
「"おはよう"ゆうてほしいんやろ!聞いとったわぼけ。 ちょっとは相手の迷惑考えろゆうてんねん」


そんなんゆうたって。
自由に使える金も時間もそんなない学生で、神奈川と大阪はやたら遠くて いつでもすぐ会えるわけちゃうやんか。
瞼の裏にはいつもあの顔、なんか目つき怖くて生意気っぽくて髪型ほんま個性的で きらきら光るあのピアス(どこで買ってんやろ、かたっぽつけてないんやったらほしい)、 授業中も練習の休憩の時もお風呂ん時もずっとずっとあのかわいらしい顔は焼きついて俺から 離れへんけど、
ああほんま。

(触られへんやん感じられへんやん、やから俺はあの声を頼りに生きてんねん。あれがなくなったら 俺から宮城がなくなってまう、そんなん怖いわありえへん)




「俺は俺で色々切ないんよ」
「元気そおに見えるけどな」
「男は弱さを見せへんの…」
「涙目やで」
「そっとしとけや」

ああなんで神奈川は関西にないん?ごめんやけど奈良とかと位置変わってほしい。 大仏よりかわいこちゃんや。会いたいねん会いたいねん。



「なあ、宮城って俺のことすきやと思う?」
「あんま言いたくないけど、かけた電話全部でてくれるってことは嫌われてはないんちゃう?」

どんより流れるきったない水をなでるように風がふく。この風はどこまで続くんやろか。
(もしかしたら、もしかすんの?)



ああ宮城宮城。ほんまかわええ俺の(ものになってほしい)宮城。
会いたいねんほんま会いたいねん。なんか知らんけど めちゃくちゃ好きになってもうてん。知らんとかいいつつ 実はだいたいわかってるけどな。あの男前さに惚れてんな。 あの日の試合、そんなずっと見てたわけちゃうけど、離れへんねんもん。
ちっこいなあ思ったらあほみたいにコートん中掻き回してかっこよすぎやろ。惚れるやろ。 いきなり話し掛けて、思いっきり引いた表情しつつも教えてくれた番号とアドレス、 そんなんかわいすぎやと思ってん。かっこよくてかわいいなんて出来すぎた人間なわけないし、 もっと知ってみたいと思って喋ってみたら、案外気ぃ使いやったりすることも、 バスケ以外は全然あかんことも(恋も勉強も。まあどっちも俺が教えたるやん)、 だんだん自分から話してくれて、俺ほんまときめいてん。欲しなってん。
ああ会いたいな。会って抱きしめて言ったりたいねん。

また春のぬるい風が吹く。今度は強く、でっかい木さえ揺らす風が、くるくる まわりながら東へぬける。
ほんまは会って抱きしめて言ってやりたい、けど、




「宮城ー!俺はほんまにお前がすきやー!!」

風はまだ止まん。なあ聞こえたか、ほんまは会って言ったりたいけど、 風に乗ってきこえてくる俺の声もなかなかええもんやと思うねん。今日だけそう思うことにしてん。
きっとこの声はあそこまで飛んでって、 しばらくすれば今度は俺の携帯に、愛しい声が飛んでくるはず。










(きみがすきだとさけびたい)
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このお題神かと^^^!(あの名曲がよみがえる〜)
(07.4.29)