左頬に2度目の鈍い痛み。ぺっと吐き捨てた血はどす黒かった。


「なんで抵抗しないんすか。」
「理由もわかんねえのに殴り返せるかよ。」
「あんまなんにもしないとそのまま」
不意打ちの蹴りに思わず吹っ飛んだ自分が情けなかった。ここまでやられっぱなしなのは初めてだ。



「ころしちゃいますよ。」
冷たい目にぞっとする。それが自分にむけられているという事実に目眩がする。 理由がわからないのだ。なぜ自分がここまでされなければならないのか。 むしろわからないことより、理由なんてないような気がしてならない 確信めいた予感ががんがん頭を殴った。無意味に、ただ。


「タフですね。まだそんな目するんすか。」
「…どういうことだよ説明しろよ流川。」
掠れた声でしぼりだすのが精一杯の言葉は思いの外強く響いた。 じわり広がる血の味をやけくそに飲み下してもう一度睨む。 俺はこわい。これが憎悪を意味していても、異常な快感だったとしても、 どっちも同じだけこわかった。


「なにをですか。」
「ふざけんな俺を殴る理由に決まってるだろ!」
「ああ、それは」
薄く笑って、

「先輩の泣く顔が見たいだけっす。もうやめてくれって泣いてください。」
普通じゃない愛を宣言する。







(その欲)
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117祭り!
(07.1.17)





泣き顔がみたい〜〜